カプコンの看板タイトル「バイオハザード」初代のリメイク作品。
20週ほどプレイしたが一言でまとめると素晴らしいゲームであった。以下、概要とレビューを述べる。
概要
1996年発売のプレイステーションソフト「バイオハザード」を様々なアレンジ・改変を施しリメイクした作品。
サバイバルホラーというジャンルを確立し、大ヒットを記録した無印バイオのリメイクとあり発売前から期待が持たれていた。
なお海外タイトルは Resident Evil (邪悪な住人)。英語圏ではbiohazard というバンド名が既に存在したためかぶらないよう別名があてられた。
この概要では初代(無印)1がそもそもどんなゲームだったのかを述べていく。
王道ゾンビホラーをゲームに昇華
特殊部隊STARSのメンバーがラクーンシティ郊外の洋館事件に巻き込まれるというストーリー。
巨大な洋館の狭い廊下でゾンビに襲われる恐怖にはじまり、不穏なBGMややたらリアルな効果音など、「サバイバルホラー」という新鮮なゲーム体験をプレイヤーに届けてくれた作品。
発売当初は新ジャンルからか敬遠されがちだったがめきめきと売り上げを伸ばし、カプコンの看板タイトルの一つとなった。
有限な資源を元に脱出する緊張感
バイオは初代~コードベロニカとそれ以降(4以降)でゲーム性が180度異なる。
4以降のバイオでは基本的に「目の前の敵を殲滅させた後、部屋を探索する」が初回のプレイスタイルとなるが、過去作でこういったプレイは非常に難しい。
回復アイテムや銃・弾薬と言った怪物たちと戦う手段は洋館内に用意されている。しかしそれらはすべて有限であり、お金で購入したり敵が落としてくれたりといったことはない。
また経験値やお金と言った概念は存在せず、敵を倒してもその部屋から敵がいなくなるだけである。これにより、難しくなったときの為になるべくアイテムを節約するプレイスタイルが求められる。
アイテム欄は最大8と有限であり、埋まれば新たに拾うことはできなくなる(アイテムをすてることはできない)。4次元ポケットのようにつながっている「アイテムBOX」に預けることで余裕を持たせることは可能。
よって上級者ほどアイテムBOXにほとんどのアイテムを最初に預け、最低限の武装でクリアするようになる。
圧倒的なゲーム的恐怖演出の数々
カメラを固定させることでプレイヤーから見えない位置に敵を配置させやすく設計されている。初見は角を曲がってすぐの位置や、オブジェクトの影などに配置されたゾンビに驚かされることになる。
部屋と部屋を移動する際にはどうしてもロードが発生してしまうが、その時間にドア・門の開閉や階段昇降のムービーを挟むことで緊張感を継続させることに成功している。
また前述のようにアイテムや武器には現実的制限が多く、主人公はそもそも生身の人間である。強い武器で無双できるというアクションゲームのような設定ではない。
登場人物
クリス・レットフィールド
主人公その1。ナイフが使いやすかったり体力が高かったり移動速度が速かったりと基本性能が高い分、それ以外の面でジルより劣っており総合的にはクリスが上級者向けとなっている。
ベロニカや5でも主人公として活躍。5では筋肉質な体格からゴリスと呼ばれる。
ジル・バレンタイン
主人公その2。基本性能は低いがキーピックで2割のドアをノーコストで開錠できたり、アイテム欄が多かったり強力な重火器を入手できたりと総合するとクリスより優遇されている。
3でも主人公を務め、5でもヒロインポジションを務める人気キャラ。3のコスチュームでもプレイできるのだがやたら露出度が高い。
レベッカ・チェンバース
クリス編パートナーとなる女の子。ヨーン1戦目でで毒を受けたときのみ操作可能。
薬学に長けており回復役のイメージが強いが、前日譚に当たる0では主人公の一人を務め、強力な怪物たちを次々に撃退する離れ業をやってのける(0で入手した装備が1ではなかったことになっている)。
バリー・バートン
ジル編のパートナーとなる家族思いのナイスガイ。要所要所でアイテムをくれたりジルを助けてくれる。
タイムアタックでは見殺しにした方が時間短縮&難易度低下になる。
リメイクによる改良点
グラフィックの向上
PS時代の今見ると荒いポリゴンも独特の恐怖感があるのだが、今作のリメイクによる美麗グラフィックの方が万人受けはしやすいと思われる。
入手アイテムが可視化されやすくなり、細かい表現が可能になったことでキャラクタービジュアルも大幅に向上した。
元より魅力的だったバイオのキャラクターたちがさらに魅力的に描かれている。
操作性の向上
従来のラジコン操作に加えスティックによる操作が可能となっている。これによりゾンビにフェイントをかけてノーダメで突破するプレイが可能になったり、単純な方向転換がスムーズになったりと操作性のストレスが軽減した。
倒したゾンビが復活する「クリムゾンヘッド」
無印には存在しなかった新仕様。倒したゾンビが一定時間たつと強化ゾンビ「クリムゾンヘッド」として復活。移動速度・攻撃速度が増して襲い掛かってくる。
頭を破壊する、燃やすといった倒し方であればクリムゾン化は予防できるが、手間がかかる。
これにより歯ごたえが増し、ゲーム性が向上した。
新クリーチャー「リサ・トレヴァー」
無印には存在しなかった新キャラクター。怪物となってしまった悲劇の少女。
終盤のイベント戦以外では倒すことができず、攻撃力も高いある意味今作最強キャラ。独特の奇声と金属音でプレーヤーを恐れさせた。
王道リメイクとされる今作だが「最近のバイオは怖くない」と感じているあなたはリサ・トレヴァー目当てで買ってみるのも悪くないと思う。
悪い点・賛否両論点
難易度の高さ
難易度設定で一番簡単なものにしても、なかなかの難しさを誇る。
具体的には敵をすべて倒して進めると、ほぼ弾切れになってしまう。ナイフという無限武器もあるが、威力・間合いは最低クラスでこれ1本でやっていくことは初心者には困難。
弾の余裕さは、2≒0>ベロニカ>3>1 といったところ。最高難易度ともなればかなりの弾薬マネージメントが必要にとなる。
また、敵の火力の高さも難易度に拍車をかけている。
後半に登場するハンターが多用してくる飛び爪は体力最大でも即死してしまうことがある。モーションはわかりやすいのだが細長い道で出されるとかわしにくくHARDで猛威を振るう。
シナリオの短さ
良くも悪くもPSソフトを基本そのままリメイクしている。そのため周回プレイしていくと2時間切りも可能になってくる短さ(もちろん濃厚な2時間なのだが)。
1週を長期戦でやりたいというユーザーには不向きか。
毒攻撃の理不尽さ
毒状態になると移動のたびに体力が減ってしまい移動速度が低下する。回復にはブルーハーブというアイテムが新たに必要になる。スピードクリアでは絶対に避けたい状態異常。
毒攻撃はヘビやクモなどいかにもな敵が使ってくるのだが、回避できるかは運次第なところがちょいちょいある(特にヘビ)。こちらのプレイスキルで完全に回避できるようにしてもらえるとありがたかったのだが。。
画面が暗い
ホラー演出の一環としてと思われるが、画面がやたら暗い。ゲーム側で明るくすることもできるがGENのモニターではそれでも足りなかったのでこのゲームをプレイする時だけさらに明るさを強くしている。
アイテムや敵など重要なオブジェクトが見えにくくなるのは少々プレイしづらい部分である(周回プレイすればあまり気にならなくなるが)。