上級国民「飯塚幸三」池袋自動車事件の概説・感想・GENの意見まとめ


産経新聞:捜査関係者「ネット上の批判は把握している」 池袋暴走

とある事件がネットで大炎上しました。東京で起こった交通事故についての事後対応が問題視されているようです。

今回はこの事件の概要とGEN個人の意見をまとめました。

事件・炎上騒動の概要

元官僚の高齢者が起こした死亡事故

2019年4月19日、池袋で元官僚(現無職)の飯塚幸三さん(87)の乗用車が150メートルにわたり暴走。

母と娘2人死亡者が出た事件です。

凄惨な事件ですが、ここまでならそこまで炎上する案件ではありませんでした。以下のポイントが火種となった感が強いです。

事件前後の加害者とその周辺の対応

飯塚さん(以降「加害者」)の事件前後の行動は出てくる情報の限りでは非常に悪かったです

事故直前はブレーキの様子がなかったことから、人を轢くことにストッパーがかかっていない状態でした。

事故直後は警察や救急車ではなく、最初に息子へ電話している点も批判が集中。

なぜか同タイミングでフェイスブックなどのSNSアカウントが削除されていたりウィキペディアが加筆できなくなっていたりと情報統制がはじまっている点がネットで大きく拡散されました。

「さん」付けで報道するメディアと逮捕しない警察

2人を死に追いやる事故を起こしたにもかかわらず、何故か「さん」を付けて報道し続けるメディア。

それもそのはず、警察がまだ「逮捕」に至らなかったからです。このあたりから一部で「何故逮捕しないのか?」という言論が多くなりました。

2019年4月21日ーーー先の事件の2日後に兵庫で近しいシチュエーションが発生します。神戸でバス運転手(64)が8人を死傷させる事故を起こしたというものです。この際のバス運転手は現行犯逮捕されました。

類似した事件が連続しながら、警察の対応が見事に二極化したのも燃料投下の一因となりました。

上級国民を忖度した疑惑が指摘される

加害者は元官僚のいわゆるエリートでした。ネットスラングではこういった層を上級国民と揶揄します。

彼は上級国民だったから逮捕されず、下級国民のバス運転手は即逮捕されました。こんな法の下の不平等があって良いのか? という論調が広まったのです。

GENの意見

状況証拠だけで殴りかかるべからず

彼が上級国民だと仮定して、それが原因で逮捕されないのかどうかは現状まだ明確ではありません。

「上級国民」を理由に叩き続けるのは、推理小説を読み進めて行き状況証拠だけで解決編が終わってしまったようなものです。

警視庁が彼に忖度して逮捕してないとすればまだ突っ込みどころがありますが、それが事実かどうかは現状確認できていません。

忖度は罪なのか

政治や役人批判にも「忖度」という言葉は多用されますが、そもそも忖度を罪のように扱うのはいかがなものでしょう。

ない方が良いとは言いながらも、初対面と20年来の友人では応対や待遇に差が出てしまうといったことは、あなたの周りやご自身にも存在しているはずです。

「大事件での忖度はダメで、小さな忖度は良い」というダブルスタンダードをGENは持つことはできません。

忖度を罪として叩く論調には疑問です。

故意と過失の同一化は避けるべき

今回加害者は好きで事故を起こしたわけでも人を殺したわけでもありません。つまりわざとやったわけではないのです。

明確な殺意を以てこの惨事を引き起こしたとなればGENもなかなかの憎しみが湧きますが、今回の件は少なくとも過失案件です。

ネットの言論でよくみられるのが残念なのですが、彼を殺人鬼のように糾弾するのは間違っています

それができるとすれば実害を受け悲しみに暮れる遺族であり、第三者の我々が「人を殺したから」という一点で故意と過失を同一視するのは釈然としませんでした。

とは言えGEN自身も身内が同じ目に遭おうものなら感情を落ち着かせる自信は全くないのですが。。

逮捕しなくても処罰は可能

逮捕されないと聞くと無罪のようなニュアンスを感じますが、決してそんなことはありません。

東京立川では2018年高齢者の女性が2人死亡させる事故を起こし逮捕が見送られたものの、2年後2年の実刑判決を受けています(素人ながらこの刑期は少なすぎると感じますが)。

ちなみに逮捕されないのは高齢者だからという点が大きいです。

そもそも逮捕は逃亡や証拠隠滅のリスク予防が目的であり、今回は87という高齢故それらのリスクはないと判断しているものと思われます。

加害者の行動そのものは糾弾されるべき

産経新聞の記事では加害者は杖を使って歩いており、車庫入れがうまくできない様子も目撃されています。

こんな状態でそもそも「ハンドルを握っても大丈夫」と判断した彼には相応の責任が問われるでしょう。

また、冒頭の概要で述べた通り事故直後の対応にも問題が多いです。この点も法廷できちんと論じていただきたい部分です。

「運転能力がないドライバー」問題

今回の事件は高齢者ドライバーに焦点が当たっていますが、「運転能力が未熟なドライバー」をどこまで認めるかという問題が常につきまといます。

例えば若くても足腰が不自由だったり視力や動体視力が不十分な者がハンドルを握れば今回のような悲劇は再発する可能性が高いでしょう。

少々暴論ですが、飲酒運転がこれだけ取り締まられていながらドライバー個々の運転能力についてそこまで触れられていないのは疑問です。

完全にフィルターをかけるのは難しいにせよ、日本の免許更新システムそのものの見直し時期が来ているように思います。

おまけ 多かったネット上の意見への感想

「死刑にしろ」

飯塚幸三という男をやたら叩く言論がネット上にあふれています。

「死刑」を希望する意見も多いが、GENは半分賛成です。

この手の死亡事故は故意か過失かにかかわらずもっと重罪として扱われてほしい思いがあるからです。

「SNS垢削除で既に証拠隠滅している」

アカウント削除そのものは確かに何かしらの後ろめたさを感じます。

ただ今日びアカウント削除程度で証拠隠滅したことにはなりません(というか削除しても残りますし)。

事故現場や自宅などの物的証拠隠滅の可能性を議論対象にすべきだと思います。

実際事件現場をはじめとする最も物的証拠が残る箇所の検分は事件直後に済んでいます。

これで証拠隠滅できているのであれば逆に大したものです。

「警視庁に対してデモを起こそう」

SNSを覗くとデモを起こそうと考える層が見受けられました。

切り捨てる意見になってしまいますがデモとは元来無意味なものです。いくらデモを起こされたところで権力者側は困らないからです。

デモと真逆な過激手法として日本ではほとんど行われないテロクーデターストライキなどは高いの効果があります。

権力側にある種の恐怖を背景とした圧力をかけることができるからです。

テロ・クーデターであれば様々な死や外傷などの恐怖、ストライキであれば下々が自分の意のままに操れなくなる恐怖 といったところでしょうか。

権力者を意のままに操りたい、こちらの願望通りに動いてほしいと思うのなら権力者に圧力をかけるほかありません。

言うなれば嫌がらせが必要なのです。

これは国会前で反権力と称してデモ活動に邁進する下級国民にも同じことが言えるでしょう。

よってGENはデモ全般について否定的な立場をとっています。

ある種の広告活動ととらえるのであればまだ救いはあるのですが、デモで世の中が変えられると考えているのであればその思考は根本から間違っていると考えています。

「飯塚『容疑者』と呼ぶべき」

そもそも逮捕されていないので現状容疑も何もない状態です。

批判されることの多いメディアですが、この点はルールに則って報じていると思います。

ただ、GENは大手メディアに自主規制ムードを感じています。

例えば加害者側の家族や親族への取材がほとんどなく、被害者側ーーーつまり遺族の情報ばかりを報じている印象を受けるのは事実です。

「高齢者は免許返納して運転させるな」

前述した通り、高齢者だからというよりも運転能力がないドライバー全般について免許返納措置はとられるべきです。

既存の法律では18歳以上と年齢下限が規定されているので、年齢上限で「ハンドルを握って良いのは69歳以下まで」とすべきという考え方もあります。

GENはそもそも年齢で区切る必要性をあまり感じていませんが、これを考慮した別案をひとつ。

・運転可能な体形・健康状態であること
・物理的能力(操作・動体視力・配慮など)があること

この2つを満たせば何才だろうが運転免許を取得できるようにするのはいかがでしょう。

現在の免許更新頻度は5年ですが、たとえば65歳以上からは免許更新頻度を短くします。

加えて病院の診察により「運転能力が著しく低下し、完治までは運転してはならない」という基準を設け、それを満たす間は運転してはならないという法律の立て付けにします。

高齢になるほど能力が落ちていくのは間違いないので、高齢者に焦点が当たるのは致し方ない部分です。

しかし一部ネットで論じられているように高齢者全般に矛先を向けることのは少々お角違いに思います。

「自動運転はよ」

ここまでさんざん述べてきた自動車によるリスクは自動運転ですべて解消するという意見です。

実際のところ自動運転は原理的に可能であり技術的には問題ない基準になっていいます。

しかし課題が一つだけ残っておりまして、それは責任です。

事故ったときに誰の責任とするのか。自動車メーカー・プログラムを作ったメーカー・ドライバー・所有者…と誰が悪かったのかを決めることが非常に難しくなっています。

加えて遠隔操作技術が入った場合はオンラインでクラッキングされての悪意を持った意図的な事故の誘発も可能になります。こうなっては責任の所在がさらに複雑になります。

GENは今のところこの「責任誰にする問題」の解決案が浮かんでいません。

心では自動運転推奨派なのですが、現実問題難しいと感じる今日この頃です。

一応日本政府の方針としては、自動運転で起きた事故の責任は運転席に座っていたドライバーになるらしいです。

ただそもそも座ってなくても運転できる場合は?など前述したような課題は山積みです。