【賛成】自民党の失言防止マニュアルがそこまで変じゃない件


自民党が「失言防止マニュアル」なるものを配布し話題となっています。

中身は自民党議員のメディアに取り上げられてしまうような失言防止を目的とし、気を付けるべきことを明文化したものです。

これについてミタパンこと三田友梨佳アナウンサーの生放送中の発言が話題となりました(以下原文)。

「必要なのはマニュアルではなく判断力ではないのでしょうか。マニュアルが必要になる時点で、国家議員の資質とはなんなのか考えてしまいます」

ネットではこれをド正論と賛同する声が多いです。GENもこれそのものはド正論と感じた一人ですが、失言防止マニュアルそのものには賛成の立場です。

今回はGENなりの賛成理由と、そもそも政治家に何故失言が多いのかを考えます。

失言防止マニュアルに賛成の理由

「当たり前の再認識教育」は重要


少し政治をはなれて、自動車免許のお話から。

自動車免許を取得すると数年ごとに免許更新の時期が来ます。

更新する際は免許センターに出向き、交通事故の統計やら凄惨な交通事故に関する映像を講義代わりに視聴することが義務付けられています。

これらの内容のほとんどは正直なところ言われなくても当たり前の内容です。

「よそ見をしてはいけません」
「急発進しては行けません」
「ペダルを踏み間違えてはいけません」

これらは全ドライバーが理解している当たり前の内容です。

しかし一部がこれらを蔑ろにしたがために事故が起こっています。再認識を働きかける意味での授業というわけです。

今回の失言防止マニュアルも免許センターの精神とまったく同じです。当たり前のことの羅列なので、内容的に浅く感じてしまうのは致し方ありません。

「こんなものを作らなければならないほど政治家の質は落ちたのか」と嘆く声は多いですが、マニュアル化して失言を是正していく姿勢そのものは決して不思議なことではありません。

失言という交通事故を無くすためと考えればそこまでおかしなこととGENは思いませんでした。

失言は誰でも起こしうる


免許センターのたとえを出したので、引き続き車でたとえてみましょう。

言葉とは自動車のようなもので、便利な反面「人を傷つけたり傷つけられたりするマイナス面」もあります。

失言とはいわば交通事故のようなものです(意図的なひき逃げ・当て逃げもあります)。過失で人の感情を逆なでしてしまうことは往々にしてありえます。

30年近いGENの人生の中で、言葉には人並みに気をつけて生きてきたつもりですが失言がひとつもなかったのかと言われると疑問です。

メディアがこれを批判するのは当然


失言防止マニュアル作成を批判しているメディアは多いが、これはある種必然です。

原文を読むとわかるが、これはある種のメディア批判文です。「意図しない切り抜きが行われているので、切り取られても大丈夫なフレーズしか言わないようにしましょう」という意味が込められています。

メディアが外からメディアの悪口を言われて全肯定することは少ないです。今回のケースもそのひとつと言えるでしょう。

政治家に失言が多い理由

メディアによる取り上げが多い


政治家に失言が多い理由を政治家の質の低さと同列視する意見があります。冒頭に紹介したアナウンサーの意見はまさしくそこを突いています。

しかしGENはこれについては少々疑問です。

政治家に失言が多い最大の理由は政治家が最もメディアに監視されているからです。

メディアは権力の監視が仕事なので監視自体は問題ないのですが、監視に割かれるコストが最も高い政治家で失言報道が多いのはむしろ必然と言えます。

盗聴でもなんでも良いので全職種で全発言を精査するとなれば、政治家以上に失言の多い職種はいくらでも見つかる余地があります。

仮になかったとしても政治家以外との比較が現状ない以上政治家だけを「失言の多い質の低いグループ」とみなすのは時期尚早です。

ニュースになるのは「珍しいから」


メディアは数字をとれるニュースを優先します。数字をとれるニュースの基準のひとつが希少性です。

未成年が加害者の殺人事件報道が連続すると、未成年が人を殺しまくっているように感じるが実際はだったりします。少ないからこそニュースにできる側面は大きいです。

少年犯罪は少子高齢化を加味しても年々減少傾向

万引きや窃盗をはじめとする軽犯罪はほどんどニュースになりません。それはそこらかしこで日常的に起こっているからです。

たまにしか起こらない、珍しい事態だからこそ話題性が高まりニュースになります。

政治家が日常的に失言しているとしたら、そもそもここまで報道されないということです。

今回のまとめ


最後に改めてGENの主張を総括します。

GENは自民党の失言防止マニュアルには賛成の立場。免許センターと同じく当たり前のことでも改めて注意喚起することには一定の評価があるからです。

政治家に失言が多い理由は政治家がメディアに取り上げられやすい側面が大きいです。他種との比較がない限り政治家だけを叩く言説をGENは取ることができません。もちろん単品で失言した人間が糾弾される言論は致し方ない部分です。

メディアは悪役を作るために作為的に切り取ります。どう切り取られても大丈夫なように政治家側で規制をかけていくのは自然な成り行きです。

また、これをメディア側が批判するのもまた自然です。

失言は政治家に限らず誰しもに起こりうることです。

今回の件で「マニュアルは不要」「政治家はここまで堕ちたのか」と否定的な方はご自身のこれまでの言動を一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

どこかしらで「失言だった」と反省する点が見えてくるはずです。